2023年4月10日 投稿者: はや

マイナス財産の相続

民法第896条には相続の一般的効力として、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。 」とあります。つまり、不動産や預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も承継することになります。

最高裁の判例では、マイナス財産は遺産分割の対象にならず、相続開始により当然に分割されて、法定相続分に従って各相続人が負担することになります。従って、遺言や遺産分割で法定相続分と異なる債務の承継割合を定めても、債権者には対抗できませんので、注意をして下さい。例えば「長男が被相続人の債務の一切を承継する」と遺産分割協議をしても、債権者は法定相続分に応じて各相続人に弁済を請求することができます。

裁判所への相続放棄・限定承認の申述をせず、遺産分割協議に参加して財産を貰わないこととしても、単純承認とみなされ、被相続人の債務を承継する場合があるということになります。

残念ながら行政書士は裁判所への提出書類を作成することはできませんが、マイナス財産の相続は、プラス財産と異なるということを、お伝えさせていただきたいと思いました。皆様どうぞご注意下さい。

マロン法務事務所