2023年7月13日 投稿者: はや

相続放棄すれば、不動産の管理責任から解放される?

不動産を相続放棄をした後の義務、についての民法の規定が23年4月から変更になりました。
旧民法では、相続放棄をした場合でも、相続時に当該不動産を実際に管理していたか否かを問わず、相続人に管理責任がありました。

旧民法940条 
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

これに対して新民法では、相続人が相続発生時に当該不動産を管理していなければ、相続放棄により管理責任は発生しません。

新民法940条
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

新民法によれば、特定空家を相続し、その後相続放棄をした相続人は、仮に市がその空き家を取り壊しをした代金を請求されても、支払いに応じる義務はないことになります。

考えられるのは、相続人全員が相続放棄をした場合など、相続財産を管理する人が不在になってしまう場合です。放置することが危険な空き家の隣人などはどうすれば良いのでしょうか。その場合は、その相続の利害関係者からの申し立てによって、家庭裁判所が相続財産清算人を選出し、その清算人が以後の管理をすることになります。

尚、相続放棄と遺産放棄とは異なりますので、注意が必要です。

マロン法務事務所