2023年4月21日 投稿者: はや

相続 特別の寄与

旧民法下では、相続人を除く親族は,被相続人の療養看護等に尽くしても,相続財産を取得することができませんでしたが、2019年の改正民法により、相続人以外の被相続人の親族が、無償で被相続人の療養看護等を行った場合には,相続人に対して金銭の請求をすることができるようになりました。義理の父母を療養看護していた長男の嫁が、財産分与請求できる制度が出来たということです。

旧民法民法904条では、「共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。」という寄与分についての定めがありましたが、寄与分は相続人に限り、請求ができるとされていました。

寄与分は相続人を対象にしていて、特別の寄与は相続人以外の被相続人の親族を対象としている点で異なります。

新設された民法1050条は、「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭の支払を請求することができる。」となりました。特別の寄与をした親族のことを「特別寄与者」、寄与に応じた額のことを「特別寄与料」といいます。遺産分割の手続が複雑にならないように、遺産分割は相続人だけで行い、相続人に対する特別寄与者は相続人に対し金銭請求を認められます。特別寄与者は遺産分割協議には加わることができず、相続確定後に相続人に請求できるに過ぎません。当事者間に協議が調わないときは,家庭裁判所に審査を委ねることになります。

遺産分割協議が終了後に相続人に対し金銭請求をする時点で、争いになる可能性は高いと思います。被相続人が遺言を残しておいてくれれば、と思います。

マロン法務事務所