遺言執行者 いないとどうなる
第1012条【遺言執行者の権利義務】
1.遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2.遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
というように、遺言執行者の権限は、民法で強く定められています。
では、遺言執行者のいない場合はどうなるのでしょうか。遺言者は、遺言書において遺言執行者を指定することができますが、必ずしも遺言書作成の際の法的要件ではありません。法定相続分よりも多くの財産を相続する相続人や法定相続人以外の受遺者は、遺言執行者がいなければ、その遺言通り自動的に遺産分割がされませんし、また銀行の相続手続きなど、遺言執行者の指定が無い場合には、何か手続きをするたびに、必要書類に相続人全員の署名や実印をもらわなければなりません。相続分の少ない相続人は、非協力的になることも考えられます。つまり、執行する人がいなければ、相続手続きはなかなか前に進まない、ということになります。
遺言執行者は、未成年と破産者以外であれば、相続人や受遺者を指定しておくことができます。相続人である長男を執行者として定めておいても良いのです。遺言作成の際には、遺言執行者を定めておくのが一般的です。また、遺言において指定されていない場合には、その選任を家庭裁判に請求できます。
1010条(遺言執行者の選任)
遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。 1010条は、遺言執行者の選任について定めた条文です。