成年後見 親族後見人の利益相反
成年後見人(=後見人)とは,成年被後見人(=後見人の支援を受けている本人)の身上監護と財産管理をする役割を担う人のことをいいます。
身上監護とは、本人の生活や健康の維持、療養等に関する仕事です。例えば、本人の住まいの確保、生活環境の整備、施設に入所する契約、本人の治療や入院の手続を行うことです。食事の世話や実際の介護などの事実行為は含まれていません。
財産管理とは、本人の財産内容を正確に把握して財産目録を作り、本人の財産が保たれるように管理することです。 具体的には、本人の預金通帳や保険証書などを保管し、年金や保険金などの収入を受け取り、ご本人に必要な経費の支払を行い、それらを帳簿につけて管理を行うことです
後見人は家庭裁判所が適当と認める者を選任するため、必ずしも後見人候補者として希望した人が後見人に選任されるとは限りません。 本人の利益を考慮して、例えば後見事務に専門的な知識が必要な場合や、管理する財産の種類や内容により選任しますので、決してご家族の利益のために、親族を後見人に選任することはありません。
仮に親族が後見人に選任された場合、後見人と本人の利益が相反する場合はどうすれば良いのでしょうか。例えば、父が亡くなった場合で、長男が母の後見人をしていると、遺産分割で長男と母は利益相反の関係になります。長男は悪気は無くても、自分の相続分を多くしてしまうことも可能です。その場合母の利益が守られなくなりますので、特別代理人を選任を家庭裁判所に申し立てなければなりません。特別代理人は、原則として法定相続分での遺産分割をすることになります。